君の心をどうか見せて

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 王城元老院会議、略して王元会議は、二つになってしまった政治機関間の疎通を図るための月一の会議だ。ギャスパーはまだその日を迎えたことがないため元老院のトップであるノクターンも名前しか知らないが、アリアがその会議で一言も言葉を発していないであろうことは予想がついた。 「元老院とノクターンお祖父様に言いたいことがたくさんあるって気付いたのも、ギャスパーのおかげだ」 「陛下…!俺は心から応援しますよ!」  ギャスパーが目を輝かせるのを見て、不思議とアリアは力が湧いた。もっと彼を驚かせたくて、感心してほしくて喜ばせたくて、自分がやりたかったことが明確になっていく。アリアが幸せだと自分も幸せだ、とギャスパーは言うが、それが真実だと彼の纏う空気一つで伝わってくる。 「お祖父様にきちんと言ってみるよ。それと、カノンとアレグロは僕のすぐそばの臣下なんだから、ちゃんと意思疎通をして、それで…えっと…」  アリアは言葉を詰まらせる。その声音の色がなんだか変わった気がして、ギャスパーは彼の顔をうかがった。なんだかギャスパーの初めの狙い通り、結果オーライな展開になってきているが、彼はアリアの心はなぜか読み違えてしまうことが多い。少しでも恋人のことを知りたくて、ギャスパーは逸る気持ちで言葉を待った。 「僕は、その、僕の体を見られることが嫌で、えっと…別々に寝てたけど…」     
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