彼らは牙に気づかない

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 王元会議の後、すべての政務官はアリアの意向を載せた号外新聞の発行と今後の担当地区における会議に必死に働いていた。今夜は眠りたいと思っている竜らばかりであろうが、チルカの時代以来に活性化した王城のため全力を尽くしていた。  そんな中、アレグロは貴重な戦力であるはずなのに、明け方以降姿が見えないのだ。 「おかしい…。新たな予算編成の指揮を取って欲しかったのですが、困りました」 「今までこういうことはなかったのですか?」 「一度も。彼女はとにかく働き者でね、地方出身で孤児だと言っていましたが、弟たちのためによく稼ぐ良い娘ですよ」  ふうん、とギャスパーは言った。なんだかギャスパーと似たような境遇の女性であったとは、全く気がつかなかったのだ。  確かに、見慣れた水色の丸い頭が見えないことにどこか不安はある。いつだって、カノンのすぐ周りを彼女はうろうろしていた印象だから、カノンはそれは違和感が大きいだろう。  二人は、広い広い王城の上のフロアと下のフロアも歩きまわった。アレグロを探して、カノンは外を飛んで移動はせずわざわざ城内を歩いたのに、彼女は見つからない。はあ、と小さく何度か、カノンはため息をついた。     
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