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だから彼は性急な手つきで恋人の肌を暴いた。半分ほどしか外せていなかったカッターシャツのボタンを乱雑な手つきで開けていき、ついにギャスパーは初めてアリアの素肌を見た。
真っ白な肌は、顔や指先と同じ淡雪色だ。しかし目を引いたのは、蛇が巻きついているかのように貼りつく白の鱗だった。
美しすぎて、正気を失いそうだった。頬の鱗も綺麗だったが、薄い腹に浮いた肋骨に虹色の反射光を映す冷たい鱗は荒い呼吸に合わせて上下し、ギャスパーはしばらく、神秘的なそれに息を飲んだ。
「…み、見ないで」
ハッとギャスパーが精神を浮上させたのは、震えるアリアの声によってだった。
「見ないで、見ないでお願い。ごめん、ごめんなさい、こんな、気持ち悪いっ…!」
「アリア…アリア、気持ち悪いだなんて」
「だって、あなたは人間だ。こんなもの、見たことがないでしょう。本当にごめんなさい。僕はこんな体なの。人間のふりをしているけれど、鱗がどんなに剥がしても浮かび上がって、こっ、こんな、」
アリアは錯乱したように、浅い呼吸を繰り返して髪をかき乱す。鱗と同じく硬質な光を放つ白の髪の毛だって美しかったが、アリアの悲痛なその声に、ギャスパーは彼がかわいそうでどうにか誤解を解きたくて、ぎゅうっと恋人を抱きしめた。
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