彼らは皆戦場にいた

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 爪を立てないように気をつけて乳首をつまんだら、彼は背中をしならせてひときわ大きい声を出す。本人は意図していないだろうが、まるで胸元をギャスパーの方に差し出しているようなその仕草にひどく興奮して、ギャスパーは荒い息を吐いた。  理性はもう置いてきた。ただただ恋人が可愛くて、アリアに感じていた違和感も全て忘れて、ギャスパーは彼の体をいじめる手を止められなかった。  首筋を舐めあげた時、同じ方向にのびあがる細い首元が猫のようで愛おしかった。ひじを曲げてバンザイしてシーツを握り締めるアリアもいじらしかったが、肩口にあったギャスパーの髪の毛を恋人がかき混ぜてくれた時はとんでもない幸福感に襲われた。  胸元に舌を這わせた時の水音が二人の耳を犯す。湿った舌先に唾液を滴らせて、わざとギャスパーは焦らすように勃起したそこを舐めた。もう一方は指先で捏ね回して、次第に強くなっていくその刺激にアリアが喘ぐ。初めてとは思えない、だなんて思ったギャスパーだが、アリアが泣いてしまうかもしれないのでその発言は自重した。繊細ですぐ思いつめてしまう恋人をもっといじめてやりたい気持ちもあったが、それは今夜より後にとっておこうと、ギャスパーは目の前の体に集中した。 「あっ、あ、やあっ、んう、」     
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