彼らは皆戦場にいた

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 ピチャピチャと胸を舐める舌でわざと音を立てると、それはアリアの声と混ざって部屋に満ちた。この世のすべての甘いもので満たしたようなその部屋に桃色の匂いは充満し、二人はもう、快感のことしか考えられない。 「ヒャス、ッあ、ギャスパー!」  だんだんピンクに、そして赤に近づいていく乳首に夢中になって、ギャスパーは一瞬アリアの必死な声を聞き過ごした。しかし力の抜けた腕で背中を叩かれて、ギャスパーは最後に強く吸ってから、そこから口を離す。 「はっ…ごめん、何」  息を整えると、感じすぎて真っ赤っかの目をしたアリアはギャスパーを睨んでいた。とはいえ、潤んだ瞳で見つめられても何も怖くはない。可愛らしくて思わずその髪を撫でると、アリアは気持ちよさそうに目を閉じかけたが、すぐにハッとしてギャスパーに抗議した。 「ふ、服!僕だけ脱がされたのに、ギャスパーは着っぱなしなんて不公平だ!」  そう言われて、ギャスパーはようやく自分にまとわりつく布の存在をまた思い出す。すでに汗で皮膚に貼り付いているそれは不快感がものすごくて、ギャスパーは乱暴にシャツに手をかける。そして彼は、真ん中のボタンを外すのも煩わしくて、バッと裾を持ち上げてそれを脱ぎ捨てた。  ベッドに服を放った恋人に見惚れたのはアリアだ。     
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