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着痩せするギャスパーの体はコートの下ではすっきりとして見えるのに、その体は鎧のように、無駄のない筋肉に覆われている。軍の師団長だったという彼には、無駄な肉は一切ない。ただただ無骨で、見せるためではなく戦うために、そして守るために鍛えられた肢体はとにかく格好良くて、アリアの心臓が一気に加速する。
愛撫に翻弄され、どろっとした快感に飲み込まれそうだったアリアは、改めて当たり前のことを認識してしまって混乱しそうになる。
こんなにも格好良くて、こんなにも無骨で、こんなにも美しいこの男に抱かれるのだと思うと、アリアは恥ずかしくてでも嬉しくて、何より幸福で、どうしようもなくなってしまいそうだった。
「陛下、じゃなかった。アリア?」
ぼうっとしてしまったアリアに、ギャスパーは問う。再びその体が折り曲げられ、アリアの細っこいあばらの浮く胴に密着した時、アリアはそれだけで少し極まってしまいそうだった。あんまりに恋人が好きで、好きで、それがわかってしまって、アリアは声すら出せない。
「どうしたの」
戸惑いながら、ギャスパーは肌と肌が重なる心地よさに身を任せた。
「アリア?」
固い指先が、何気なくアリアの脇腹の、密集する白い鱗のキワに触れた時だった。
ビリっとした快感が身体を駆け上がり、アリアは声もないままただビクッと震える。まだ、衝撃的に魅力的だった体の余韻に酔っている最中だった。けれど弱いその部分を触られると、アリアは嫌が応にもこの現実に、ベッドの上に意識を戻すしかない。
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