彼らは皆戦場にいた

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 甘えるようなその腕が可愛らしくて、ギャスパーは両手で指を絡めてその手を柔らかくベッドに押し戻す。そのままその手をゆるく拘束して、ギャスパーは、アリアをもっと狂わせたくて顔も下に向ける。純粋な好奇心が混ざる男の欲望は無邪気とも言えたかもしれないが、何をされるのか予想がついたアリアの体は期待で、本人が意図しないうちに布団から体を浮かせてしまった。早く触れてほしくて、あの強いのにもどかしい快感が恋しくて、彼はキュッとつないだ指をねだるように握った。  ギャスパーは小さく笑いを零した。頭上に降り注ぐアリアの期待の視線を感じてしまって、あんまり可愛くてたまらなくなったのだ。  そして、彼は固い鱗に舌を這わせた。 「あっ、や、やあんっ」 「っ嫌じゃない、でしょう?」  触れるか触れないかくらいの舌先はアリアを狂わせる。アリアの勃ち上がった自身は痛いほどで、ぴったり腹にくっついていたのに、ギャスパーはまだそこに触れるそぶりも見せなかった。  しかし舌先は下腹部に滑っていく。これまた真っ白な陰毛のあたりにも鱗は混ざっていて、きわどすぎるそこを舌で暴かれた時、アリアは思わず素直に言ってしまった。 「あっあああっ!いい、きもちいよおっ、あ、」  どんどん快感に流される脳は与えられた刺激以上のものを感じてしまって、妄想と現実の狭間でアリアの頭は一瞬真っ白になって、ほんの少しだけ、おかしくなりそうな快感から解放された。 「はっ、はあっ、ん、あ」  息を整えながら、二秒ほど失われていたアリアの視界は次第にはっきりと蘇る。  アリアは何が起きたのかわからなかった。けれど、覆いかぶさるギャスパーがぽかんとしているのを見て、アリアは上気する頭をコテンと横に倒した。     
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