彼らは皆戦場にいた

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 予想だにしていなかったその言葉に、アリアはためらうことなくぱちっと目を開けた。そんなことは絶対に避けなくてはならないと思って、アリアは当初の目的を思い出して焦ったのだ。まさかギャスパーが萎えてしまったのかと思って恐る恐る確認したアリアだが、下は脱いでいないギャスパーのそこはかわいそうなくらい膨らんでいて、アリアは口をはくはくさせてからやっと言った。 「い、いやだ!」 「でもアリアを気持ちよくできたし」 「それは、その」 「責めてるわけじゃなくて、可愛いかったから満足って言ってるんですよ。…ああ、気にしないでください。これは自分でなんとかします」 「そんなこと絶対許されないよ!」  アリアは慌てて言った。ギャスパーはそんな恋人の髪を撫でて、ゴロッと大きなベッドに寝転んで言った。 「無理をさせたくないんですよ。よく考えたら、準備もしていないし。あなたは雄…じゃなかった。男の子だから」  その言葉に、アリアもうっと言葉を詰まらせる。捨て身の覚悟で今日ギャスパーと繋がる気だったが、用意がないのはアリアも同じだ。  けれどアリアの脳はもっとはっきりと冴えてしまった今、悲痛なほどの衝動にかられる。先ほどまでの時間が幸福すぎて思わず頭の中から消えていた秘密が再び蘇り、彼は考えた。 「わ、わかった。でも、このまま寝るのはヤダっ!」  寝転ぶギャスパーの手から逃れ、アリアは言った。ガバッとギャスパーの足元に体を這わせて、寝転んだアリアが下腹の辺りに顔をピトリとつけたところで、ギャスパーは気がついた。 「ま、待って」 「待たないよ」 「陛下、あなたがそんなことをする必要は」     
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