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アリアとともに寝て、起きた時にはベッドはもぬけの殻だったこと。アリアの服も靴もなく、彼が自主的に一人でどこかに行ってしまった可能性があること。それらを説明し終えた時、カノンは言った。
「主君のご様子はどうでしたか?普段と違うことなどは」
「…それが、その」
ギャスパーは思わず言い淀む。そして彼は、こんな非常事態に避けてはいられないと腹をくくって、同衾する前のアリアの様子をカノンに話した。
カノンはただ淡々とそれを聞いた。
「なるほど。焦っていたように見えたのですね。陛下は最初、窓際に立ち尽くしていたと」
「そうです。ここに…俺が部屋に入った途端、アリア陛下はすぐにカーテンを閉められた」
ギャスパーのその言葉に、ギャスパーとともに大きな窓のそばに来ていたカノンはカーテンを開けた。そして彼は、迷わず上を見た。
「…やはり。彼女の…いや、彼の言ったことは本当だったようですね。見てください、庭のガラス屋根が破られている。ここから主君の部屋に侵入した」
カノンの言葉についていけないギャスパーだったが、カノンに続いて窓から顔を出して上を確認した。一度だけアリアと一緒に出たことのある庭である。
するとなんと、本当に屋根にヒビが入り一部が破られていて、そこから庭に粉雪が舞い降りてきていたのだ。
「どうして…侵入って、どういうことですか!?」
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