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説明しろ、とギャスパーがカノンに詰め寄った時、燭台を持っていたカノンは、さっとギャスパーから顔をそらした。
炎が揺れる。二人の男の影が微動だにしなくなった時、カノンはようやく口を開いた。
「…自白した男がいるのです。王城に、スパイとして入り込んでいたと」
え、と、ギャスパーは目を剥く。
そしてカノンは言った。そのセリフにしばし寝室の時は止まる。
「庭から主君の部屋に侵入した者はアレグロ。彼女…彼は、ノクターンの手先です」
‥
王城の地下は広く深く、とてつもなく寒くて、いくら寒暖差に強い竜人族といえど鳥肌が立つ。人の体よりも、鱗に覆われた竜の体になった方がまだ暖かい。だから広い座敷牢の中で、閉じ込められたアレグロはゆっくりと青竜の姿へと変わっていった。
彼がノクターンに買われたのはほんの小さい頃で、弟たちにご飯を買うために彼は必死だった。だから一番高い金を出すノクターンの所有物となった時、アレグロは安心すらしたのだ。
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