彼らは皆戦場にいた

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 そして密かに王城に帰還したアレグロは、まずアリアに会いに行った。  ギャスパーが会議の後アリアを寝かせているのを、密かに彼は庭のガラスの天井から見ていた。王に近しいものしか知らないその場所を、第一政務官のアレグロは把握していたのだ。 「ギャスパー様がお部屋を出て行かれてから、私は屋根を破りました。その音でアリア陛下は目を覚まし、窓の外に私がいるのを見つけ、お部屋に通してくださった」  アリアを寝かせた後、ギャスパーはカノンとともにアレグロを探すために廊下を歩いていた。それからまたアリアの寝室に戻るまでの数時間で、アレグロはアリアと話をしたことになる。 「…私は全てを告白した。雌雄も経歴も正体も、そして、ノクターン閣下がギャスパー様の御命を狙っていることも、アリア陛下に話したのです」  アレグロはぎりっと唇を噛み締める。あの時はそれしか方法がないと思っていた。最も良い手段だと思っていたのに、アリアのとった行動は、全くアレグロの想像外であった。     
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