彼らは皆戦場にいた

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「申し訳ありません。私は陛下のご命令に背きました。…アレグロ第一政務官は、白の制服を着る全ての竜の憧れです。陛下のお考えがわからなかった。悪い予感がしました。私はなぜ彼女が閉じ込められなくてはならないのかわからず、数時間後に私はカノン宰相閣下のお部屋に行ってしまった。…私には荷が重かった。勅命に背いた罰は受けるつもりです」  しかし結果的に、彼の判断は正しかったと言える。  深夜に兵に訪ねられ、アレグロが地下牢にとらわれていると知ったカノンは慌ててアレグロの元に駆けつけた。そこで見たのは、懐かしくも悲しい、今やボロボロになったアリアの座敷牢と、絶望的な顔をして固まるアレグロだった。  アレグロはカノンに言った。自分は裏切り者で、ノクターンの手先だと。動揺したカノンはそれを追及しようとしたが、次のアレグロの言葉でカノンはそれができなくなる。  アリアがもしかしたら王城からいなくなったかもしれないと、アレグロが言ったのだ。 「ただの私の直感でした。アリア陛下は何かを覚悟されたようなお顔で、私に感謝の言葉を残し私を牢に繋ぐように言ってから、またお部屋にこもられた。その時、確かに主君はつぶやいていたのです。…その言葉が不可解で、不安で、私は死んでしまそうだった…!」  アレグロは叫ぶ。ギャスパーは言った。アリアが今どこにいるか彼は見当がついたものの、アレグロの言葉を聞かないと確信が持てなかった。 「アリアは、何と」     
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