彼らは皆戦場にいた

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 だからアレグロは、こんなことくらいで弱音を吐いてはいけないと、必死に折れそうな心を奮い立たせた。皆が皆自分の大事なものを守ろうとここを去った。けれどアレグロが座る座敷牢だって、全く同じ戦場だ。  アリアとギャスパーと、そしてカノンと自分自身と、皆が自由に生きる世界を初めて夢見たアレグロは、信じていなかった神に願う。どうか、新たな風が、少しずつ狂い行くドラコルシア全土を包むようにと、彼はその心のすべてで願ったのだった。
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