覚悟の行く末

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 ノクターンはその様子を見て、くすくすと笑い出す。長い長い黄金のストレートヘアを細い両腕でさらっと払って、彼は口を開いた。 「へえ、お祖父様、か。面と向かって私がそう呼ばれたのは、初めてじゃないかい」 「あなたと僕はこうして、二人きりで話したことがなかったから。いつも、間に誰かいた。お互いの味方をしてくれる、竜人が」  アリアが薄く笑うと、さすがにノクターンは少し驚いたらしく、アリアに問うた。 「お前、なぜここに来た。…あの役立たずは寝返ったんだね。私がお前の婚約者を殺そうとしたと、お前は知っているはずだけど」 「ええ、知っています」 「なら、なんだい?私に復讐しに来たのかな、無力なのにそれはないか。なら、懇願かな」 「…そうですね、懇願です」  アリアがそう言うと、ノクターンは合点がいったように言った。 「お前のことだから、愛しのギャスパー・キャロルの代わりに自分の命を差し出す、といったところかな」     
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