覚悟の行く末

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「できる。王は僕です。それに、僕の後ろには僕の民が。僕の前には、賢帝チルカ先王陛下と同じ理想が。僕の隣には、味方がいますから」  言い切ったアリアの瞳に迷いはない。恐れもない。同じ金の瞳なのにアリアとノクターンが抱える感情は、見える未来は、全く異なっていた。  アリアの言う、味方、というものがギャスパーだとわかって、ノクターンはぎりっと唇をかんだ。なぜだかどうしようもなく、ノクターンはギャスパーの存在が日に日に疎ましくなっていく。  ノクターンは最初はただ、ドラコルシア国王の権力が欲しいだけだった。だからノクターンは息子を女王チルカにやり、彼を殺し、女王の卵を腐らせて王座が順番通り外祖父ノクターンに回ってくる時を狙った。けれどなぜだか、ひときわ大きく硬かった卵だけは腐らず生き残った。  しかし生まれてきた雛を見て、ノクターンは納得とともに狼狽した。先祖返りの突然変異で、原始竜に似た竜人が生まれてくるなど、誰一人として予想だにしていなかった。  王子がいては次期国王は彼になる。玉座の順番待ちが遠のいてしまう。だからアリアを殺すべきだと思ったのは、初めて孫を見た時のノクターンの本音だ。     
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