覚悟の行く末

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 息も絶え絶えに言うアリアの声を聞いて、ノクターンはさらに力を強めた。その言葉が図星だったわけではない。そのはずなのに、アリアの苦しいうめき声が増すのを聞きながら、ノクターンは首を絞めることをやめられない。 「黙れと言ったのがわからなかったか。私はいつだって私だけのために生きたと、お前は忘れてしまったかな」 「っ、はあっ、ヴ、わすっれないっ…だって、みんなそうだ。みんな、自分の満足のために、愛っした、り、す、っああああ」  それ以上アリアの言葉を聞きたくなくて、最大限の力を込めた。爪がアリアの首に食い込み、彼は血を流す。アリアはやはり白竜に戻れず抵抗できないようで、なされるがままだった。  このままだとアリアは確実に死ぬ、と、アリアもノクターンも悟った。  その時ノクターンの体を駆け抜けたのは快感だった。アリアを完全に支配下に置いたことによる満足だ。アリアの言うような、彼への甘い好意など、血縁に感じるという愛情など沸いていたらきっとこんな所業で快感を得られるわけがない。そう思ってノクターンは笑った。アリアが間違っていたと自らに言い聞かせて、それに安心して笑ったのだ。  アリアはようやく、自らの作戦の失敗を悟った。本気で祖父の愛情を信じた自分を恥じたが、しかしそれでも、アリアにはどうしても拭えない疑いがある。     
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