物語を止めないで

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 そんな騒動が落ち着いたのがつい先ほどで、ギャスパーはようやく納得した。五百年も筋トレをしなかったら痩せるはずだな、と、妙な安心を覚えてしまったのだが、明らかに問題はそこではないとギャスパーは我に返ったのである。 「あの、俺確かにノクターンに殺されたと思ったんですけど…」  死に際にギャスパーは、アリアに生まれ変わると言い残したつもりだったが、どうやら死んではいなかったようである。それは良かったことなのだが、正直なぜ生きているのかがまったく不明だ。金竜に噛みつかれた時に内臓も確実に貫かれたのに、今ギャスパーは痛いところが一つもない。先ほど水も飲んだし、万全である。  不思議そうなギャスパーの耳に飛び込んできたのは、ベッド際に椅子を持ってきて座った二頭の竜の言葉だ。 「カノン聞いた?ノクターンだって、懐かしい」 「そうですねえ。最近父すらその名を言わないから、忘れそうになってましたよ」  なんだかカノンに対するアレグロの口調が馴れ馴れしくなっていることに気付いたギャスパーだが、おおよその展開は予想がついていたのでやめた。しかしさりげなく彼らの指を見ると、きっちりお揃いの指輪をはめていたから、つまりそういうことなのだろうとギャスパーは確信した。収まるべきところに収まって本当に良かったと思った。 「あっ、失礼いたしました。ギャスパー様にご説明せねば…ん?なんですか、今の音」     
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