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ギャスパーは着せられていた白いシャツを脱ぎ捨てて、自分の体を確認した。ある宗教の修行僧のようにあばらがはっきりと見え、腹は紙のように薄く、太陽を知らない皮膚の色をしていた肉体を、早急に回復させねばと誓ったギャスパーだが、目を引いたのはやはり鱗だ。
アリアのもののように、身体に巻きつく模様を描いているわけではない。ところどころに小さく点在していて、それはざあっと肌に石をばらまいたかのようだった。
「今のところ、ギャスパー様の副作用はそれだけですね。おそらく、寿命も我々ほどになっているのではないかと、五百年眠っていたことから予想しています」
「えっ、それはラッキーだ!俺はせいぜい八十歳までしか生きられないから、毎回生まれ変わってアリアのところに行こうとしていたんですよ。時間の節約ですね、よかった!」
なんだか、的外れなのかそうじゃないのかわからない喜び方をするギャスパーに、カノンは苦笑した。こんな風に、いつも笑みを浮かべて飄々としている男だったと思い出し、さっき散々泣いたはずなのにカノンはまたも目頭が熱くなる。あまりに美形だからいつも若く見られるといっても、人間にして四十半ばまで生きているカノンだからか、最近結構涙もろいのだ。
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