物語を止めないで

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 命を確かめるように、二人は唇の体温を分け合った。生きていて良かったと、これほどまでに実感したことは、二人ともこの瞬間が初めてだ。  突然、ギャスパーは恋人から体を離した。  離れる温もりにアリアは驚き、その手は反射的にギャスパーを追うが、さっと地面に片膝をついたギャスパーにそれは届かない。  シンと再び、竜人達は静まり返って動きを止めた。噂になっていたこの展開を、彼らは期待していたからである。 「え、と、ギャスパー」 「アリア」  緊張で体が壊れて消えてしまいそうな心地の中、ギャスパーは真剣に、跪いて恋人を見上げる。今日この瞬間のために、彼は七日間、ありとあらゆる努力をした。なるべくいい格好をしたくて頑張ったのだ。  息を吸って吐いて、また吸った。 「俺と、いや…私と、結婚してください」  え、と、アリアの口からこぼれ出たものはまずは戸惑いだ。次に、動きを早めた脳がその言葉を処理し終えて、アリアの涙が引いていく。驚きすぎて、彼はどうしていいのかわからない。  ギャスパーはジャケットの内側から、真珠貝を模したケースを取り出した。それも、ギャスパーがずいぶん悩んで選んだものだ。  震える指先で開いたその中には、金に輝くそろいの指輪があった。 「ギャスパー、ほ、本当に」 「まだそんなことを言うのですか。本当です」     
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