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竜になったアリアに服を咥えられポンと宙に投げられて、ギャスパーが着地したのは真っ白の鱗の上だった。すでにアリアは飛び上がっていた。指輪がどこかに行ってしまったけれど、それはきっちりと、苦笑しながら涙を流す器用なカノンが地上でキャッチしてくれていた。
喜んだ竜はぐんぐん空を突き抜ける。虹の真横を一回転し、はしゃぐアリアは、必死にしがみつくギャスパーに言った。
「見て、これがドラコルシアだ。僕の、みんなの国だ!」
地上を見下ろすと、ギャスパーとアリアに投げキッスをするものや手を振るもの、ハンカチを振って泣きじゃくる国民もいた。町に広がる青い屋根と張り巡らされる水路、広大な公園はきっと元老院跡地だろう。顔を見せてくれた皆は陽気で、力強くて、精一杯に祝福してくれた。
「これが、アリアの」
冬に閉ざされていたかつてのドラコルシアよりも、ずいぶん元気な国になっていると、ギャスパーは肌でそう感じた。何もかも、母の意志を継いで自らの理想を追い求め、民に寄り添ったアリアの功績だと思うと、あまりの誇らしさにギャスパーは涙が出そうだった。
「あなたの国でもある、ギャスパー。僕の隣はあなただけだ。一生あなたは、僕の味方をしてくれるんでしょ?」
アリアの言葉にもうためらいはない。あるものは眩い自信だけだ。
「もちろん。この命が潰えても、俺はあなただけの男だ…!」
ギャスパーは言った。
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