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「…俺だってね、アリア。不安になることはあるんですよ。というか、五百年眠って起きてからまだ、一度もあなたの体に触れてない。俺の体も昔と同じくすっかり戻したつもりですが、もし何かお気に召さなかったら言ってください。あなたはずいぶん私の体が好、ぶっ!」
切々とギャスパーはアリアに気持ちを訴えていたのに、ものすごい速度で顔に何かが当たり、背後のベッドに腰を下ろしてしまった。
「何するんですか!て、クッションか」
怪鳥の古代文様が原色で描かれるクッションからはスイカの香りがした。アリアが手元にあったものを投げたのだ。
「た、確かに僕はギャスパーの顔も性格も剣技も毒舌もか、か、体も…好きだよ。大好きだよ。だからその、不満なんて一個もないし、僕だって一緒に寝たいし、というかまだ未遂だし、でも」
乱れるアリアの口調から彼が先ほど何かに照れたということはわかったのだが、ギャスパーは彼が何を言いたいのかがさっぱりだ。伸びた髪をポニーテールにして三つ編みにしているのがかわいいな、とそんなことをギャスパーがぼんやり思っていると、柔らかい綿の膝丈ズボンをはいたアリアは、ギャスパーの横に来て膝を抱えた。この幼い仕草は、アリアが何か話しにくいことを話そうとしてくれる時の癖だとギャスパーは知っている。
「…僕さあ、身長何センチだと思う?」
「えっ?そうですねえ、十メートル以上はありますよね」
「違う!人型の時の!」
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