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今の彼はすっかり大人になって緊張することも不安がることも仕事においてはほぼゼロで、堂々と自分の意見を言いまくる王である。懐が深いアリアは異性同性種族問わずとにかくモテるようになってしまい、それも鷹揚な笑いでかわしてみせるほどだ。まさしく脂が乗ったのだ。
そんなアリアを見てギャスパーは、きっと彼は虐げられなかったらこんな性格だったのだろうと思ってジンと胸を痺らせていた。立派な伴侶がいてとにかく幸せで、彼が格好良くて誇りに思ったのである。
アリアは変わったか、本来の姿に戻ったのだとギャスパーは思っていた。しかし、あの卑屈で引っ込み思案のアリアもまた、正しく彼の一部なのだと気がついてギャスパーはアリアが何で悩んでいるのかがようやくわかった。
彼はまた、自分の容姿に自信がなくて困っている。
「ほ、本当はね、髪も昔みたいに切ろうかと思ったんだ。肩くらいまで。願掛けも終わったし…でも急に切っても、僕体型も顔も変わっちゃってて昔の僕には戻れないだろうなって思って、思いとどまって…。今から痩せても少年みたいな体には戻れないし、でもきっとギャスパーはそういう僕に一目惚れしたんだろうし、突然こんなにでかくなっちゃった僕のこと見ても、」
「ストップ」
「昔みたいに好きになってくれるか、って、ギャスパー?」
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