恋の心臓、呼吸の果てまで

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 終わりない後ろ向き発言の最中、ギャスパーはアリアに悪いと思いつつも笑いをこらえるのに必死だった。本当に、文字通り、アリアが全く変わっていなくて、相変わらずそんな些細なことを気にしてしまう彼が可愛らしくて仕方がない。どんな大交渉の前でも演説の前でも堂々としているのに、結局彼は、ギャスパーの感情を心配して揺れてしまうのだ。 「アリア。変わらず可愛いよ」  くすくすと笑いながら、ギャスパーは簡潔にそれだけ言った。 「なっ、でかい男捕まえて何を、」 「可愛いってば。覚えてない?昔はあなた、俺に自分の体が小さくて子供みたいだから見ないでって言ったんですよ。あと、鱗がどうとか」  そう言われたアリアは、数秒固まったのち記憶脳内検索でヒットを得た。言った。確かに言ったのである。その時もギャスパーは、たくさん褒めて心を溶かしてくれた。 「だいたいね、あなたならあの大きな白竜の時でも綺麗で可愛くてセクシーだと思ってしまうのですよ。俺が先に惚れた方だから、常に負け。わかった?」  ギャスパーはアリアを抱きしめた。そっと髪の毛を結ぶ花の飾りを解いて、ばさっとアリアの銀糸をベッドに散らした。長い間三つ編みにされていたそれは緩く波打っていて、そんな髪型も良くアリアに似合っていた。 「…知ってはいたけど、」 「俺が馬鹿って?」 「ううん。ギャスパーは僕のこと、すごく好きなんだなってこと」  照れも誇張もなく、ただ納得したようにアリアが言うのを聞いて、ギャスパーは押し倒そうとしていた手をぴたりと止めた。     
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