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気持ちを信じるとか、確認するとか、そういう会話は何度もしたことがある。アリアが不安げに、それか自信ありげにギャスパーに問いかけるたびに、彼は即答してきた。アリアが好きで、世界一愛していると笑顔で伝えてきたのだ。
しかし、今日のようにアリアが、心の底から自然に理解したような、当然のことのように納得したような態度を示したことは初めてだ。
ギャスパーはようやく、ほんの一部でも伝わったような気がした。アリアの傷だらけの心は、他人の好意を信じられなかった小さな心臓は、長い時をかけたけどきちんと修復されていってるのだと、ギャスパーは気づいて体が熱くなる。
止められない何かがこみ上げてくると彼は思った。体の中からあらゆるキラキラしたものを集めて、すべてを巻き込んで、溢れ出してくるこれは何だろう。アリアの顔がよく見えなくて目を擦ろうとした時、アリアが両手をギャスパーの首にかけた。
「わっ、アリアちょっと」
ギャスパーの焦る声を無視して、ギャスパーを巻き込んでベッドに倒れこんだアリアは言った。
「泣かないで。泣いてもいいけど、そんな顔見たらもっと好きになる」
「え、泣くって…。うわ、本当だ」
ギャスパーはようやく気がついた。泣いたことなど物心ついてから一度もないから、これが涙だと気がつけなかったのだ。
「あまりにも、幸せで」
「うん。知ってたよ。そういう顔してたもん」
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