恋の心臓、呼吸の果てまで

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 その途端に、ギャスパーの目の色が変わって再び欲望の火がついたことを、アリアは見逃さなかった。すぐにこうやって、ギャスパーがアリアに夢中になってくれることが嬉しくて可愛らしくて、アリアは泣いてしまいそうだ。ギャスパーが目覚めてからアリアは泣いてばかりなのだ。 「言った事、後悔しないでくださいね。陛下」  わざとアリアをそう呼んだギャスパーは今度はアリアの体をうつ伏せにひっくり返す。こっちの方が竜の交尾らしくて興奮するという事をいつ恋人に告げようかと、アリアは悪い顔で企んだ。相も変わらずよくモテるギャスパーをちゃんと自分に繋ぎとめておくために、彼をメロメロにする事も大事なのだ。  二人だけの時間は、夜が終わる頃まで続いた。今夜だけではなく、朝も昼も夜も、二人がいるだけで二人だけの楽園になる。  そこに新しい命が加わったのか、はたまたそれはおとぎ話で終わったのかは、後の世に生きる者が知るところだろう。しかし、愛し合った彼らを語り継ぐ者たちは皆口をそろえて言ったのだ。  五百年の時を眠っていた恋は永遠の愛に昇華して、二人の魂を行き着く果てまで運んで行った。息が絶えても恋の心臓は絶えることなく、互いの体温を刻み続けたのだ、と。
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