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笑顔のカノンの手が示す先には、長い長い廊下が伸びていて、道はいくつにも分岐している。天井が高く、室内にも凍った水路があった。壁がないところや吹き抜けのところが目立つが、それは外から竜人たちがそこに降り立ったり飛び立ったりできるようになっているようで、今しがた一人の事務官が瞬時に竜人となり、壁の無い廊下から空に駆け出した。
青い軍服の上に、オオカミの毛皮を着たギャスパーは歩みを進めた。これから支度をして、いよいよ婚約者の竜人と対面するのだ。
目に入る凍った水路も、真っ白の壁も外に見える青い屋根も、一様に薄着な竜人達もこの国の寒さを煽る。しかしどうしても高まる緊張で、ギャスパーは暑く感じてしまうほどだった。
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