初恋

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「あ、っと、ぎゃひゅぱーさ、」  ぽかんとギャスパーはあっけにとられた。  臣下の竜人二人も緊張した雰囲気を緩ませて、互いの顔をうかがった。  しまった、と白竜がその顔をした時にはもう遅い。おそらく竜人にとって馴染みないギャスパーの名前を噛んでしまった白竜は、涙目になってしまっていた。 「っふ、ふふ。ははは。いや、すみません。あんまり、お可愛らしくて」  人間は思わぬことが起きるとその体を停止させてしまうように、その逆もあるらしい。しっかりと初恋をその身に根付かせたままだが、ギャスパーの固まった体がリラックスし彼は調子を取り戻してそう言った。  まだ膝をついたままのギャスパーをそろそろと見下ろし、真っ白の王様は満月の目をぎゅっとつむる。その様子一つとっても可愛らしく思えて、またもギャスパーは笑ってしまいそうになるがグッと堪えた。 「ギャスパーさん。よ、ようこそ、僕たちのドラコルシアへ。あなたは僕と結婚してくださるという…」     
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