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「こんな方が俺の婚約者だなんて光栄極まりない。あなたが好きです、アリア陛下」
真っ赤な薔薇が一気に咲いたように、アリアの白い肌は端から端まで赤くなる。
ギャスパーがクリーンな女性関係の持ち主という噂が本当かどうかすら、もはや怪しいものであるとアレグロは疑ったのだが、アリアと会う前のギャスパーは全くこのような好色めいた歯の浮く台詞を吐かなかったのだからこれは一目惚れのなせる技だろう。最初はただギャスパーがアリアの姿の珍しさに驚いていたものだと思ったが、今のアレグロとカノンにははっきりわかる。ギャスパーはアリアに恋をした。
「す、好きなんて、馬鹿じゃないの」
「陛下がそうおっしゃるなら、俺は馬鹿なのでしょう」
「ギャスパーは趣味が悪い。僕はこんな色をしてるのに…」
「なるほど色白が俺のタイプなのですね。今までの人生で、他人の容姿にこんな風に思ったことがなかったです」
アリアの必死の問いかけをのらりくらりとかわし、ギャスパーはそっとアリアの手を取った。真っ白の小さな手は、剣だこで荒れたギャスパーの手とは全く違う肌触りだった。
「な、何するの…って、わっ」
二度あった柔らかく羽のような感触に、アリアは高い声を出す。
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