君の心をどうか見せて

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 王城内で一等広いアリアのベッドルームに近づけるものはカノンにアレグロ、そして一部の侍女に衛兵だけだったが、アリアはギャスパーにもその許可を与えた。というよりも、アリアともっと話したいと主張したギャスパーがしつこく要求したのだ。 「あ、い、今開けるから」  ギャスパーと毎晩話す時間を持つようになってからというもの、アリアは自分の体を洗うのに凝ってしまっている。だからつい浴槽に長居してしまう。けれど彼が来たからには、アリアは髪が生乾きだって早く彼に会いたい。 「急がなくて大丈夫…って、こんばんは。先ほどぶりですね」  ギャスパーの言葉の途中で、ギイっと軋んだ音を立ててアリアはドアを開けた。婚約者らの逢瀬に衛兵は気を遣って、どこかに身を潜めている。 「こ、こんばんは…入って」  ドアの隙間から手招きしたアリアを見て、ギャスパーは、堪えきれなかったように笑顔を浮かべた。こんな風にいつだって甘く笑う男だとアリアは思っていたのに、王城で働く竜らによるとギャスパーは他者に近づきすぎないほうだとの評判らしく、その事実が意味することにアリアは照れてしまうのだ。 「…あの、今夜は僕の部屋じゃなくて、お庭で話さない?僕だけの庭があるんだ」 「庭ですか!いいですね、冬の星は綺麗だ。ドラコルシアじゃ、狼座流星群が見られるのですよね」     
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