君の心をどうか見せて

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「ええ。俺は祖国から、まあ任務を背負ってここにきちゃいますが、もともとこの契約結婚はヒューマリアにとってありえないタナボタなんですよ。だから言ってしまえば、俺には何の責任もない。弱い人間にとっては本来叶うはずなかった国交なのですから、国だって俺に文句もない。その上ドラコルシアの竜人族でもないから、こんなことを言えるのです」  ずるい男でしょう、とギャスパーは言った。いたずらっぽい笑みは照れていて、ただアリアのためだけに尽くすと宣言した男は、固まってしまったアリアを見かねて話を進めた。 「そう、だからね。俺はあなたが幸せなら、あなたは何にだってなればいいと思っている。いいですか、これから話すことは、俺の率直な感想ですよ」 「…うん」 「この国は、あなたに何をしてくれましたか?」 「え…?」 「あなたは振り回されてばかりだったのでしょう?殺されると思えば生かされて、閉じ込められてたはずが王座に座らされて。散々じゃありませんか。その上、生まれたのだって先人の勝手な都合で、さらにこの国で白竜として生まれるだなんて運の悪いこと。俺はあなたがかわいそうでならないのです」  俺の勝手な感想ですけどね、と、はっきりと言葉を紡ぐギャスパーは続ける。 「でも…全部僕のせいでこの国はめちゃくちゃになったんだ。僕が、真っ白で、みんなとは違う力を持っていたから…」     
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