君の心をどうか見せて

18/34
前へ
/228ページ
次へ
「だからいざという時は、俺があなたを守ります。たった八十年の寿命ですが、この体が動く限り、あなたへの愛情が潰えることはありません」 「そっ、んな、」 「好きな子にいい顔をしたい、というのは、愚かな男の共通事項ですしね」  お茶目な顔を作って、ギャスパーは首を傾げた。これが初恋だというのにギャスパーの口はよく回る。少しだけスッキリしたような顔を恋人が見せてくれて、彼はとにかく嬉しいのだ。 「俺は異形の国と我が王国の中間管理職みたいなことをずっとやっていたのでね、アドバイスだってできるかもしれません。まあ、この王城の政務官の方々は優秀だと宰相のカノンさんもおっしゃってるし、陛下さえ先頭を切ったら、きっとうまくいきますよ」  ギャスパーはいたわるように、目の前で膝を抱えてしまったアリアの背をさする。今まで元老院に何一つ手出しが出来なかったアリアは、一気に道が開けたようなこの感覚を、まるで信じられないような心地だった。 「俺はあなたの味方です。俺の全ては、そのままあなたの剣で盾だ」  その言葉には一切の混じり気がない。この強く透明な眼差しをきっと愛情と呼ぶのかもしれないとアリアが思い至った時、彼を満たしたのはあふれそうなほどの幸福と、それに混じる、どうしようもない不安だった。     
/228ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加