君の心をどうか見せて

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 いつだって穏やかで優しかった彼の目の奥に浮かぶのは欲望だ。アリアが欲しいと、隠しもせずにぶつけられるそれに、逃げようとした腰をまた引き寄せられた。  恋人の頭の上に、夜の星は輝く。狼座流星群はまだ先だけれど、いやにチカチカと光るものはなんだろう。それが、高揚と興奮に浮かされたアリアの瞳が見せた幻影だと気がつく間もなく、アリアは恋人の腕の中で翻弄されていった。 「ふっ、んう」  舌を絡めて、上あごをなぞられた瞬間漏れたのは自分の声とは思えない湿った吐息だ。たらっと、どちらのものかわからない唾液が滑り落ち、その感触に羞恥を煽られて、アリアは頭の中に火を起こしてしまったような、全身が燃えてしまいそうな感覚に陥った。  しかし、それが悪かったのかもしれない。  まず、背中に違和感を感じた。細い背中に浮き上がった肩甲骨が暑くて暑くて、アリアは背中を丸めて力を込める。この感覚には、嫌という程覚えがある。 (翼が…!)  竜人たちが身につける服は全て特殊な繊維でできていて、自在に伸縮し鱗に透明に張り付くそれは体の変化を妨げない。しかしアリアにとって、それは迷惑な機能だった。アリアが体を抑えられない以上、恐ろしい姿をいとも簡単に、衆目にさらしてしまうからだ。 「んっ、あ、ギャスパーっ、」     
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