ぼくのかわいい、よその犬

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「お前が好きだ」  自然と、想いが唇から零れ落ちた。  東雲の耳は、俺の口近くにある。どんなに小さな声だったとしても、ごまかしのきかない距離だ。一生、言うつもりのなかった想いなのに。なんてこった。  どうせ叶わない恋なのに。ああ、でも言ってしまったんだ。どうせ、東雲は泣いている。  ここで俺もふられて、一緒になって盛大に泣いてやろう。 「お前が、ずっと好きだった。高校の時から、ずっと」  俺は今、どういう顔をしているだろう。なんだか、口の中がしょっぱい。ほっぺが、熱いような冷たいような。あれ。なんだ。ふられる前から、もしかして俺ってば。 「……泣か、ないで」  自分だって泣いているくせに、俺の目元を東雲は指先でぬぐう。気の早い涙腺だ。目玉が熱くて、なんか世界が揺らいでいるように見える。  東雲の指は冷気にさらされたせいで冷たくて、それが今は気持ちよく感じる。俺の涙を必死になってとめようとしてくれる東雲が健気で、癒されてしまった。  こういうところが、俺は本当に好きなんだよなぁ。 「お前こそ、泣くなよ」     
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