ぼくのかわいい、よその犬

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 東雲の瞳の中に、俺が映っている。 「のむらは、誰よりも優しくてあったかくて。何気ない日常も、のむらがいたから楽しかった。のむらが、高校時代、ずっと将来の夢を語ってくれたから、おれも、なりたいものを、ちゃんと考えるようになった。親が、決めた道じゃなくて。自分でなりたいものを考えることができた」  たどたどしくはあったけれど、東雲は一生懸命に語ってくれた。  俺は、東雲の人生に少なからず影響を与えたのだろうか。彼の口ぶりでは、そうらしい。  それはちょっと恐れ多いような嬉しいような、なんだかくすぐったい。 「家を出ようと思った時、のむらしか浮かばなかった。のむらが、忘れられなかったから……浮かばなかった」 「…………東雲…………」 「おれだって、高校の時から、ずっとのむらが」 「だからそれは友達とし……――――」  否定しようとした俺の言葉は、東雲の唇によって阻まれた。 (え。あれ。なんで……――――?)  ふにょんとした、やわらかい。だけど、俺と同じように少し乾燥してしまっている唇が、あわさっている。視界いっぱいに、俺の大好きな顔があって。あれ。これって。あれ。 「おれの好きは、ちゅーしたりエッチしたりしたいの、好き、だから!」     
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