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電車を降りてからバスに乗ろうとして、本数のなさに驚いた。一時間に一本。すでに出た後だった。友人が、家からコンビニまで車で十分かかるよ、と笑っていたのを思い出す。それでもマシなほうだよ、と。さっきはうらやましいと思ったけれど、実際に住むのは私には無理だな、と思った。そう思ってしまうこと自体が、ちょっと情けなく寂しい気もしたけれど。
友人の実家は駅から歩いて四十分足らずのところだと聞いていたので、帽子と傘で防備をして、スマートフォンの地図を頼りに歩くことにした。
通りかかる家々の軒先で、風鈴が揺れている。ひとつだけの家もあれば、たくさんの風鈴が様々な音色を奏でている家も多い。聞いてはいたけれど、実際に見ると少し圧倒された。
友人が、観光スポットとして売れると言っていたひとつは、自然の険しさや色々な伝承が残る土地柄、パワースポットと呼ばれる場所が多々あること、そしてもう一つは、この風鈴だった。ガラスでできた江戸風鈴を作る工房が、町の中にいくつかあるらしい。
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