夢のように僕たちは

＊緑の時間＊ せんだんの木、れもん牛乳、手紙

直人はすずと過ごす時間にだいぶ慣れてきた。

いつからすずに恋心を抱き始めたのかは思い出せないが、直人はすずの話す少し鼻にかかった声や、大きな瞳を縁どる長いまつ毛、石鹸の香りに似たすずの匂い、すずの何もかもをいつも意識していた。

子供の頃は意識し過ぎて何も話せなかったが、直人ももう１８歳だ。
この６年の間に彼女もいたりした。
女の子にはモテる方だったし、キスはもちろん最後までいく関係の女の子だっていた。

でも、なんでだろう……
すずの前にいる俺は、ガチガチなウブな少年に戻ってしまう。
すずはきっと違うんだ……
純と俺にとっては天使のような存在だったから。

「直人、これ見て」

考え事をしている直人に、すずは純から送られてきたハガキを見せた。
そこには六枚の年賀状がテーブルの上に並べてあった。