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部屋の窓から王子が側近の宰相閣下の次男のルードヴッヒと楽しそうに語り合ってじゃれているのが見える。
「愛しそうに見るのねミシェル、あまり深入りすると別れが辛いわよ」
そう言ってくれているのは、マリアンヌ・サンジェスト公爵令嬢だった。
私は複雑な笑顔を令嬢に向けた。
「マリアンヌ様はブラウン王子の事をどう思って・・・」
「そうね、・・・・・弟みたいな感情から抜けだせないでいるわ、卒業したら結婚は決まっているから、切り替えなきゃいけないのだけれど・・・難しいわね」
溜め息をつくマリアンヌ
「弟ですか?]
「同学年だけど、私のほうが半年お姉さんになるの、やることなすこと子供みたいで、いや子供だったんだけど・・・・恋愛感情が沸かなくてね・・・・はぁ・・・」
「弟・・・・か・・・頼んでも良いかな?」
(ん?あれ?マリアンヌ様の目線ルードヴッヒ様のほうに向いている気がするのは気のせい?)
「所で、目星はつきましたの?」
そう話を変えてきたマリアンヌ
「そうですね・・・まだ言わないでおきます、確信はありませんので」
「そう・・・」
「もう直ぐ卒業ですね、あっと言う間の2年間でした」
「寂しくなるわね」
『すみません、マリアンヌ様、卒業式の前の晩、最後の思い出に、ブラウン王子と二人で過ごしてもよろしいでしょうか?』
小さな声でマリアンヌの耳元で話をする
『?ええ?・・・?どうぞ?』
意味が分っていないマリアンヌだった。
にっこりとものすごく嬉しそうにするミシェルを、微笑ましく見守るマリアンヌだった。
だれも何時もしない手袋をしているミシェルに気が付かなかった。
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