【侵略二の次三の次。奴らはお気楽よもすえ団】

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 さぁーて。  奴らは一体、何について話し合いをする気でいるのかねぇ?  ちょいと様子を眺めてみるとするか……  床板に耳を当て意識を集中すると、がやがやと奴らの話す声 が聞こえてきた。  最初に聞こえてきたのはペンギンのような姿をした、自称ち ょこぺん。  通称ぺんさんだ。  何やら調査隊を結成、潜入捜査を決行する事になったらし い。 「わしらがここに住み着いて以来、かなりの時間が過ぎた。そ ろそろ本格的な調査を始めたいと思うが、その前に調査隊の名 前を決めようではないか」 「はいはい、はぁ~~い!筋……」  筋肉モリモリ、マッチョ感満載のアザラシモドキは、ぱふん という名前だった。   「うむ。却下じゃな」  ぱふんが言い終えるその前に全否定するぺんさん。 「えええー!おいらまだ、なんにも言ってないよ?だから 筋……」 「却下」 「そんなぁ……」 「お前の事だ。筋肉モリモリ隊くらいしか言わんじゃろ?」 「ショボボボボーーン!」  全く取り合ってくれないぺんさんの態度にぱふんはしょぼく れ、後ろ手に拗ねてしまった。 「腹が減った。飯はまだか」 「ずちころねんも?ももちゃんみゃぐろにゃべたい」  ぺんさんとぱふんの後ろで、ぱふんよりも若干小さなアザラ シモドキと、グレーのアメショモドキの仔猫が騒ぎ始めた。  アザラシがずちころねん、仔猫はももちゃんという ようだ。 「さっきね、ちーたん、お魚屋さんからマグロ持って来たー」  場にいた5匹のうち最後の1匹。  ずちころねんとほぼ同じ見た目のちーたんが、得意そうに胸 を張る。   「なんだと!ちーたん、それは本当か?」 「うん。頑張ってお店から持って来たー」  それを聞いたずちころねんはうつむいて、小さな両 手で頭を抱えた。 「ん……?一つ聞くが、ちーたん、金はどうした?」  ぱふんの件がひと段落したらしく、ぺんさんが腹減り軍団の 会話に加わった。 「えっ?お金ってなぁに?美味しいの?」 「なにーー!お前ねぇ、それじゃ泥棒じゃないか!」  キョトンとした顔で、大真面目に答えるちーたん。  その答えに驚いたペンさんはくわっと目を見開き、手足をば たつかせて空中に飛び上がった。 「だってぇ。ももちゃんが、今なら誰もいないからチャンスだ って……」
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