第1話 王子様との出会い③

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 言い表し様のない怒りに震えるロッテのすぐそばで、リーゼロッテの話はまだ続いていた。 「私は王と契約した身。他の者に仕えることは出来ません。それは例え王太子である貴方様が相手でも同じこと。ですが、契約者である王をこのまま見捨てるわけにもまいりません」  つらつらとそう告げると、リーゼロッテは余裕たっぷりの笑みをロッテに向けた。 「私の代わりにこの娘、ロッテをお連れください。この娘は私の唯一の弟子。必ずや貴方様の――フィオラントのお役に立ちましょう」  一瞬、リーゼロッテが何を言ったのか、ロッテは理解ができなかった。  期待に満ちたユリウスの視線をその一身に受け止めて、ロッテははじめて事の重大さを理解したのだ。 「ちょ、ちょっと待ってくださいお師匠様! わたしは……」 「ロッテ」  完全にパニック状態に陥りながらリーゼロッテに訴えかけたロッテだったが、その言葉はユリウスの良く通る低い声で遮られてしまった。  頭の中は真っ白なままで、ロッテは恐る恐るユリウスを振り返った。
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