第1話 王子様との出会い④

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「初恋の王子様に会えるかもしれないじゃないか」  リーゼロッテに指を指されて、ロッテはハッと顔を上げた。  そうだった。ユリウスの身のこなしと剣捌きはあのときの――八年前にロッテを助けてくれたあの騎士とそっくりだったのだ。もしかしたらユリウスがロッテの初恋の王子様なのかもしれない。  陰鬱だった思いが晴れやかな思いに塗り替えられて、ロッテの琥珀の瞳が希望の光を宿す。  ロッテが期待に胸を膨らませていると、その様子をにやにやと眺めていたリーゼロッテがおもむろに腰の後ろに手を回し、何かをロッテに向かって差し出した。 「餞別にくれてやる」  ぱちくりと目を瞬かせて、ロッテはそれを受け取った。  手渡されたのは古びた一冊の本だった。中を見なくてもわかる。それは、ロッテがずっと欲しがっていた、リーゼロッテが大切にしていた、第一言語で書かれた薬草学の学術書だった。 「これっ……この本、ほんとうに良いんですか!?」 「ああ。特効薬を作るなら必要になるだろうし、お前、前から欲しがってただろ」 「ありがとうございますっ!」  まさか、リーゼロッテがこんな素敵なプレゼントをくれるなんて!
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