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跳ね橋を渡って城門をくぐると、都の中央通りはすでにユリウスの帰還を祝う人々の歓声であふれていた。通りに面した煉瓦造りの家々の窓辺から、花びらやカラーテープが雨のように降り注ぐ。馬車の窓から民衆に手を振るユリウスの隣で、ロッテはひたすらに身を縮こまらせていた。
大変なことになってしまった。かたかたと震える膝の上で、きゅっと両手を握り締める。期待に満ちた人々の声で、ロッテは今更ながらに我が身が置かれた状況を思い知らされていた。
この歓声は偉大なる森の魔女リーゼロッテに向けられたもので、人々が歓迎している相手は決して魔女見習いのロッテなどではない。ロッテには魔獣の襲撃から都を守るちからなんてないし、王や民衆を苦しめる疫病を治せるかどうかだってわからない。それなのに、課せられた使命が、身に余る重責が、ロッテの肩に重くのし掛かかる。不安に胸が張り裂けそうで、居た堪れない思いで目を瞑った、そのときだった。
優しいぬくもりがロッテの震える両手をふわりと包み込み、ハッとなって顔をあげると、穏やかな橄欖石の瞳がまっすぐにロッテをみつめていた。
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