第2話 ロッテ、王宮に上がる①

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***  両脇にずらりと並ぶ複雑な紋様が刻まれた白い石柱を見上げながら、ロッテはユリウスの背中を追った。  点々と灯る明かりの先には豪奢な扉があって、その前に煌びやかな衣装に身を包んだ女がひとり立っていた。ユリウスとロッテの更に数歩先を歩いていたゲオルグが女に向かって軽く手を挙げると、彼女はつんと澄ました表情のまま扉に備え付けられた真鍮製のドアノッカーを打ち鳴らした。重々しい金属音が鳴り響き、ややあって両開きの巨大な扉が音もなく開かれる。 「ご無事のご帰還で何よりです、殿下」  そう言って恭しく頭を下げると、女はユリウスに道を譲るようにしずしずと扉の脇へと退いた。ゲオルグが颯爽と進み出て、女と並び立って敬礼する。 「留守をありがとう、ディアナ」  ユリウスは朗らかに微笑んで、それからロッテを振り返った。ディアナと呼ばれた女の視線がすかさずロッテに向けられる。ロッテのつま先から頭のてっぺんまで二度見して、彼女はぴくりと眉根を寄せた。 「そちらがリーゼロッテ様ですか? 随分とお若いように見えますが……」
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