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大晦日になっても返信がなく、新年は娘夫婦と一緒に迎え、娘は「パパの悪い冗談よ。仕事兼旅行で、そのうちフラーっと帰ってくるわよ。」さほど心配はしていなかった。しかし、数ヶ月経過した辺りで区役所へ出向いた。これでおしまいだと思いながらもクリスマスイブを迎える度に雅代は深く溜息をついて、私は自由と再婚できたと呟く。ママ友のクミにはいつも悪酔いしては、「あの人、私に孤独死しろと言ってんのよ。確かに私はあの人より仕事の事しか考えてなかったかもだし、あの人は家事や育児も協力的だったわ。若い女を選びやがって。」と、クミは「あら、若い人と再婚したのは知ってるの。」雅代は「知らない。想像よ。妄想。あの人背が高いから階段の電球取り替えるのやってくれた。この前から階段真っ暗よ。私は背が低いし、脚立怖いから懐中電灯で階段上り下り、最近は夜に二階には行かないことにしてるわ。」クミも「確かに不便よね。私がやってあげるわ。心配しないで。でも困る事って、それだけかいな。」雅代は本当にそれだけだったことを実感していた。他には何の不自由もなかったと納得して二人で笑った。
しかし、月日は流れて同い年元夫婦は定年を迎えていた。今度はクリスマスイブの夜に宅配便が届いた。また可愛いラッピングで前夫からのような気がした。差出人の名前は書いてなかった。またビックリ箱だわ。何が入っているのかヤレヤレだわ。もう驚かないから大丈夫よと、そっとボックスの蓋を開けた。今度は婚姻届の書類が入っていた。何のつもりなのか、彼の名前が既に書いてあった。突然玄関のインターホンが鳴った。画像確認したら、サンタクロース姿の前夫だった。雅代は「サンタクロースらしく、煙突から入って来やがれ、このスットコドッコイ。」とインターホン越しに叫んだら、前夫は「うちに煙突って有ったかなあ。僕、鍵持ってるから開けて入るね。」と月日の流れを感じさせないクリスマスイブは闇のシーンからアットホームの穏やかな何処にでもあるダイニングルームの舞台装置へと一気に回って行く観客不在のシナリオのないお芝居のようだった。
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