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僕をじっと見据える彼の瞳の奥には何があるのかは分からないけど、何だか怖くなって僕は後退りする。
でもヘッドボードが背中にトン、と当たり、もう逃げ場がないことが分かってしまった。
「な、何も言われて、ません…あのふたりは、何も…」
「…最後のチャンスだよ。
今言えたら、噛んだりしないから…言ってごらん?」
…いっそのこと、噛んで血を吸ってほしい。
血を吸われれば、自分が生きている価値を実感することができる。
こんな飼い殺しみたいなことをされるより…何倍もマシだ。
「…」
僕が黙ってふるふると首を横に振った瞬間、手首を掴まれ引き寄せられると首筋にチクリと小さな痛みが与えられた。
それからは…まるで悪夢のようだった。
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