僕のこと

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「な、なにを探してるんでしょうか…?」 「これ、じゃないよね、これでもないし…。 ちょっと待ってね、この辺に…あ、あった」 本棚から一冊の厚い本を取り出すと、シオン様が僕に差し出した。 少し色褪せていて年季が入っている。 表紙には… 「…植物、図鑑?」 「うん、そうだよ。 これ、オレが母様からもらったものなんだ。」 「え、そんな大事なもの…」 受け取れません、そう言おうとしたのに、人差し指で制止される。 「オレはちびっこの頃から熟読してるからね。 それに今は、オレよりもななのほうが必要でしょ?」 だから、あげる。 そう微笑まれると、なにも言い返せなくなってしまう。
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