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僕はその植物図鑑を受け取り、両腕で抱きしめる。
「…大切に、します」
「うん、そうしてくれると嬉しいな」
僕の頭を撫でながらそう言われて、何だか胸のあたりがムズムズして彼から視線を外した。
なんなんだろう、この気持ちは。
今の僕には分からなかったけど、その気持ちを追求しようという気持ちにはならなかった。
「まずは小さめの鉢と種を手に入れなくちゃね。
どんな花がいいかは、その植物図鑑から決めるといいよ。
おいで、なな、一緒に読もう」
ソファへ誘われて並んで腰掛けると、図鑑を開く。
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