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『本当はお母さんが直接渡したかったんだけど学校につけていけないし無くしちゃったら大変だから、20歳になったら渡そうと思ってお姉ちゃんに頼んだの。ほら、お父さんずぼらさんだからついうっかり無くしそうでしょ?』
母は可笑しそうに笑う。
『優海、もう1度言わせて……。誕生日おめでとう。産まれてくれて、出逢ってくれてありがとう……。お母さん本当に幸せだったよ。天国からずっと優海とお父さんの事見守ってるからね。愛してる……』
母は泣きながらも笑顔を絶やさずに言った。
ビデオが終わると同時に優海は義母に抱きしめられた。
「優海、あなたのお母さんは……海月はあんなに優海の事を大事にしてたのよ。それには負けるかもしれないけど、私もあなたを愛してるわ……。だから、だからもっと私達を頼ってくれないかな……?」
義母の言葉と涙に優海は気づいた。
「どうせ他人だから」と勝手に拗ねて傷ついていた優海だが、それによって義母も傷ついていた事を……。
「うん、ありがとう……。ごめんね、おかあさん……」
優海の言葉に義母は驚いて彼女の顔を見つめ、再び抱きしめて泣いた。
「やっと……呼んでくれたね……。ありがとう、優海……」
優海の中にあった固く冷たい何かが少しずつ溶けていく……。
お母さん、ありがとう……。たぶん今まで心配させちゃってただろうけど、もう大丈夫だから。おかあさんとうまくやってくからお父さんと天国から見ててね。
優海は心の中で母に語りかけてアクアマリンのネックレスをぎゅっと握った。
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