終わらない物語を、君に。

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その手に自分の手を重ねると、笑顔を作ってみせる。 「そんなことが云えるなんて、まだ大丈夫だね」 「ええ」 僅かに微笑むとレスティンは目を閉じた。 呼吸が浅く速い。 もう、時間がない。 このままレスティンの血を吸い、仲間にすることも考えた。 けれど、いまの状態で吸血鬼になっても、レスティンに待っているのは寝たきりの生活。 それに、生半可なことでは病が移らないとはいえ、血を飲めば自分もどうなるのかわからない。 「……どうしたら」 スクーナが悩んでいると、外が騒がしくなってきた。 出ると、たいまつを手に村人が集まってきている。 「魔女を渡してもらおう」 「魔女、とは」 皆を代表して一歩、進み出てきた村長を睨みつける。
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