終わらない物語を、君に。

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にたりと笑う村長に、背筋に寒いものを感じた。 狂っている、だから、人間は。 「レスティンは魔女だ。 渡してもらおう」 「レスティンは魔女じゃない」 「渡せ」 「渡さない」 押し問答の末、強引に迫ってきた村長を押し退けると、彼はよろよろと後退して尻餅をついた。 「こいつも魔女の仲間だ。 レスティン共々……殺せ!」 じりじりと鋤や鍬を手にした村人が迫ってくる。 僅かな膠着状態のあと、時間を間違えて鳴いた鶏の声を合図に、村人がスクーナに襲いかかってきた。 ひらり、振り上げられた鍬をかわすとその首筋にずぶりと牙を突き立てる。 「……まずい」 死んだ男をその辺りへ放り投げる。 久しぶりの血液だというのに、なんの感慨もない。
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