終わらない物語を、君に。

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「まずいなぁ」 真っ赤に血に塗れる口でにやりと笑ってみせると、ひぃっと小さく悲鳴が上がった。 村人に近づいていくと、じりじりと後退していく。 「やはり魔女だ。 吸血鬼を飼ってやがった」 「だから、レスティンは魔女じゃないと云ってるだろっ」 一気に間を詰め、目の前の村人に襲いかかる。 血を吸っていると背中に衝撃を感じた。 ちらりとだけ視線を向けると、鋤を背中に打ち付けてきた男を力一杯蹴飛ばす。 「慌てなくてもちゃんと相手してあげるよ」 口を拭って振り返ると、男は壁を背にがたがたと震えていた。 背中が痛い。 骨は折れてないようだが、ざっくりと切れていることは間違いない。 現に、ズボンを伝い落ちてくる血が濡らしている。 男の方に一歩踏み出すと、ふたりの村人が同時に鍬と鋤で降りかかってきた。
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